KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第21回:平成23年2月15日放送分

土地や建物を売却した場合の税金

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来てもらいまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日にうかがっています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、川野秀明さんにお越し頂きました。川野さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :さて、川野さん、今日は、どんなお話でしょうか?
  • 川野 :今日は、個人の方が土地や建物を売却した場合に生じる税金についてお話ししたいと思います。
  • 沢田 :これは、特に気になりますね。自分が住んでいる家を売ったりしたり、親から引き継いだ不動産を売る場合に、税金は想像つきませんよね。
  • 川野 :そうですね。この土地や建物、まとめて不動産といいますが、これを売却して売却益が生じた場合は、給料や商売の所得と区別して、所得税や住民税の計算をします。これを分離課税といいます。
  • らぶ子 :分離課税って、初めて聞く言葉ですが、なんか難しそうですね。
  • 川野 :はい、なかなかこれを説明するのは難しいのですが、簡単にいいますと、例えば事業で赤字が出たとしても、不動産を売却して儲けた利益とは相殺してくれないということです。反対に、不動産を売却して損した場合も、事業の儲けや、給料の所得と相殺出来ません。他の所得と分けて税金を計算しますので、分離課税と呼ばれています。
  • ナカジー:あの~不動産を売って儲けた場合は、どのくらい税金がかかるのですか?
  • 川野 :まずは、その不動産を所有していた期間によって税率が違います。不動産を取得してから5年以内に売却した場合と、5年を超えてから売却した場合で、つまり短い期間しか所有していない場合と、長い期間所有していた場合とで、大きく税率が変わるのですが、らぶ子さん、どちらの方が税金が高くなると思いますか?
  • らぶ子 :えーっ、いきなり聞かれても難しいですね。勘で答えますけど、やっぱり短い期間の方が税金が高くなるんじゃないですか。
  • 川野 :正解です。5年以内の短い期間で不動産を売却して儲けた場合は、その儲けた金額の39%の税金が発生します。
  • ナカジー:39%!!ですか…
  • 川野 :はい、これに対し、5年を超えて所有している不動産を売却して儲けた場合は、20%の税金が発生するのです。
  • ナカジー:短い期間で39%の税金というのもびっくりしますが、長い期間でも20%の税金がかかるんですね。
  • 川野 :はい、ただ勘違いしてもらいたくないのは、あくまで不動産を売って儲けた場合に、その儲けた金額に対して税金が発生するわけです。ですから、自分が購入した金額よりも高い金額で売れた場合ということが前提です。
  • 沢田 :前に、自分が住んでいる不動産を売却した場合には、税金がかからないようになっていると聞いたことがあるのですが、それは今もあるのでしょうか?
  • 川野 :はい、居住用不動産の売却の場合は、3,000万円の特別控除というのがあります。これは、所有者本人が住んでいた不動産を売却した場合には、その売却した儲けから3,000万円を引いてくれます。つまり、売却しても、3,000万円までの儲けであれば、税金の心配はないということになります。
  • 沢田 :そんなに大きい金額を引いてくれるのなら、税金の心配はないですよね。
  • 川野 :ただし、注意しなければいけない点があります。まずは、その不動産を売却する相手が、配偶者や子供、孫などの直系血族、同一生計の親族などの場合は、この3,000万円控除は、使えないということです。
  • ナカジー:それは、気をつけないといけないですね。
  • 川野 :それから、当然、自分が住んでいる不動産を売却するわけですから、引っ越しをするわけですよね。この場合、引っ越しをしてから3年を経過する年の年末までに、不動産を売却すればこの、3,000万円控除は受けることが出来ます。
  • ナカジー:なるほど、つまり、慌てて売る必要もないということですね。ただ、この規程を受けると、次の家を買った場合の、住宅ローン控除が使えなくなるのではないですか?
  • 川野 :大丈夫です。この3,000万円控除を利用したからといって、住宅ローン控除が使えなくなることはありません。ただ、不動産の売却に関わる税金は、大変複雑ですから、自分で判断せずに、不動産を売ってからではなく、売る前に、我々税理士に相談されることをお勧めします。
  • 沢田 :このコーナーでは、税金について税理士さんにいろいろとお話を伺っています。
    また、税理士さんに質問などがありましたら、パオーン宛に送ってください。
    九州北部税理士会のホームページもありますので、一度、ご覧下さい。
    スタジオには、九州北部税理士会の税理士、川野秀明さんでした。ありがとうございました。
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