KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第11回:平成22年12月7日放送分

贈与税

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来てもらいまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日にうかがっています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、川野秀明さんにお越し頂きました。川野さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :今日は、贈与税についてお話ししていただきますが、そもそも贈与税ってどのような税金で、どのように課税されるのですか?
  • 川野 :贈与税は一言で言えば、相続税を補うために設けられた税金です。相続税は人が亡くなった時に、その亡くなった人が持っていた財産に対して課税するということは前回お話ししましたよね。ですから、相続税を払いたくなかったら、生前に財産の全部を贈与して財産をなくしてしまうと、相続税はかからないことになります。
  • ナカジー:そうか、確かに死んだ時に財産がなければ相続税はかからないということになりますね。
  • 川野 :はい。ですから、生前の財産の贈与について何か税金を課さないと相続税の意味がなくなってしまいます。それで設けられたのが贈与税という税金なんです。
    で、贈与税の特徴といいますと、基礎控除額が相続税に比べて比較にならないほど小さいことと、課税する税率が高いというところです。また贈る人と受け取る人が親族でなくても贈与税は課税されます。
  • らぶ子 :「基礎控除額」って、税金の課税ラインということでしたよね~。贈与税の基礎控除額はいくらなんですか?
  • 川野 :相続税の基礎控除額が5,000万円+1,000万円×法定相続人の数と大きい金額だったのに対し、通常の贈与税の基礎控除額は1年間に110万円しかありません。
  • 沢田 :具体的にはどのように計算するんですか?
  • 川野 :誰からもらったではなく、もらった人ごとに課税されるのが贈与税です。例えば、父親から500万円、同年中に母親から300万円の贈与を受ければ、両方の合計額つまり800万円から110万円を引いた690万円に対し贈与税がかかることになるのです。
  • ナカジー:えっ、そうなんですか?それぞれ110万円引けるのではないのですか。
  • 川野 :そうなんです。中島さんのような勘違いをされる方が時々います。1人ずつから基礎控除額までの贈与を受けても贈与税がかからないと思っているんですよね。しかし、それでしたら100人から110万円ずつもらえば、1億1,000万円が無税になってしまいますから、これはもちろん間違いです。「誰からもらったか」ということではなく、「その人がその年中にどれだけもらったのか」がポイントになるのです。
  • ナカジー:じゃ、親が子供に小遣いをやっても贈与税がかかるのですか?
    あの~、いつしかの総理大臣にそんな話がありましたよね。
  • 川野 :そんな話がありましたね。確かに贈与税のかからない財産もあります。
    その中で代表的なものが、親が子供にあげる生活費や教育費とか、社交上必要と認められる贈答やお祝い、香典等には贈与税はかかりません。しかし、いずれも社会通念上相当であると認められる金額に限りますので、常識はずれの金額であれば贈与税がかかります。
  • ナカジー:例えば1,000万円くらい財産をもらったら、どのくらい贈与税がかかるのですか?
  • 川野 :1,000万円から基礎控除110万円を控除した890万円に対し課税すると、231万円が贈与税になります。
  • ナカジー:え~!そんなに高いんですか!
  • 川野 :そうなんです。最初に申しましたとおり、贈与税は相続税を補うために設けられていますので、かなり税金は高くなります。しかし、新しく出来た相続時精算課税制度を利用すれば、税金がかからずに多額の贈与を受けることが出来る場合もあります。とかく贈与税は思わぬところで課税されたりすることもありますので、税理士に相談することをお勧めします。
  • 沢田 :このコーナーでは、税金について税理士さんにいろいろとお話を伺っています。
    また、税理士さんに質問などがありましたら、パオーン宛に送ってください。
    九州北部税理士会のホームページもありますので、一度、ご覧下さい。
    スタジオには、九州北部税理士会の税理士、川野秀明さんでした。
    ありがとうございました。
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