KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第13回:平成22年12月21日放送分

平成23年分の所得税の改正点

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来てもらいまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日にうかがっています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、川野秀明さんにお越し頂きました。川野さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :いよいよ今年も終わりが近づいてきましたね。1年を振り返ることももちろん大事ですが、来年の準備もしておく必要があります、そこで今日は税金について来年はどのように変わるのかということを教えてもらえますか?
  • 川野 :わかりました。来年の税制改正ということですね。いろいろあるのですが、今日はその中でも、みなさんが一番関心があると思われます、所得税の改正についてお話ししたいと思います。
  • ナカジー:なんか扶養控除が大きく変わるということを聞いたことはあるんですが。
  • 川野 :はい、それが一番大きな改正です。まずは、所得税の計算について説明します。個人が給料をもらったり、仕事などの事業をして稼いだお金に一定の税率をかけて納めるのが所得税です。収入全体に税率をかけるのなら簡単ですが、それでは課税の公平が保てませんので、収入から一定額を差し引く所得控除という仕組みがあるのです。控除できる金額が大きくなるほど所得税は安くなります。
  • らぶ子 :課税の公平って、どういうことですか?
  • 川野 :例えば、年収が同じ会社員の方でも、妻と子供がいるAさんと、独身貴族のBさんとでは、生活に必要なお金はかなり違ってきますよね。それなのに年収が同じだからといって税金も同じにすると、Aさん一家の暮らしはBさんと比べて苦しくなる。そんな不公平感を生まないようにすることが課税の公平という意味なんです。
  • らぶ子 :家族持ちの人と独身貴族を楽しんでいる人が、同じ税金というのはおかしいですよね。
  • 川野 :そうなんです、その養っている家族がいる場合に扶養控除というもので税金を安くできるようになっていたのですが、来年はそこが大きく変わります。
  • ナカジー:扶養家族1人につき38万円というやつですよね。
  • 川野 :はい、今年までは、まず基本が扶養家族1人につき38万円。そして高校生、大学生の子供は学費等お金がたくさんかかりますので、16歳以上23歳未満の子供がいる場合は、さらに25万円加算して、63万円を控除することができました。それが来年度からは、まず中学生以下の子供、正式には16歳未満の子供については扶養控除が0円、つまりなくなります。
  • ナカジー:えっ、なくなったんですか?
  • 川野 :はい、その代わり今年から子供手当をもらっているはずです。
  • 沢田 :なるほど、そこで、子供手当が出てくるわけですね。
  • 川野 :はい、次に高校生、正式には高校生である必要はないのですが、16歳以上19歳未満の子供については38万円に25万円の上乗せがありましたが、来年からはその上乗せ分はなくなり、38万円ということになりました。
  • ナカジー:どうして上乗せ分がなくなるんですか?
  • 川野 :それには理由があります。その代わりに、公立高校の授業料が無償化になるわけです。
  • 沢田 :ちゃんと、理屈があるわけですね。配偶者控除がなくなるということも聞いたことがありますが、どうなったんですか?
  • 川野 :配偶者控除は、当面変わらずにこのままいく予定です。
    この改正は、来年つまり平成23年分からですから、今年の年末調整や来年3月15日までにする個人の確定申告には影響しませんので、そこを勘違いしないようにしてください。
  • 沢田 :このコーナーでは、「税理士さんは、どんなときに相談したらいいのか?」
    我々があまり知らない部分も伺っていこうと思いますので、お楽しみに。
    税理士さんに質問などがありましたら、パオーン宛に送ってください。
    また、九州北部税理士会のホームページもご覧下さい。
    スタジオには、九州北部税理士会の税理士、川野秀明さんでした。ありがとうございました。
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