KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第17回:平成23年1月18日放送分

医療費控除

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来てもらいまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日にうかがっています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、川野秀明さんにお越し頂きました。川野さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :今日は、医療費控除について教えてもらいたいと思います。
  • ナカジー:たしかに毎年この時期になると、医療費控除って言葉をよく聞きますよね。病院に行った時とかにも、医療費控除で使えますよとか言われたりしますもんね。
  • らぶ子 :医療費控除を受けるには、どうしたらいいのですか?
  • 川野 :医療費控除を受けるには確定申告をしなければいけないんです。サラリーマンの方が会社でやっている年末調整では、医療費控除を受けることは出来ないんですよ。
  • らぶ子 :医療費控除を受けることができるものと出来ないものがあると聞いたことがあるのですが、どのように分かれているのですか?
  • 川野 :まず、医療費控除の対象になるのは、病院や歯医者さんに支払った診療代、入院代、出産費用、治療に必要な薬の購入代、風邪薬などの市販薬も含まれます。
  • ナカジー:対象にならないのは、どのようなものなんですか?
  • 川野 :はい、美容目的の整形手術の費用や同じく美容目的で行った歯科矯正の費用は対象になりません。それから、さきほど通院のための交通費が対象になるとお話しましたが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代などは対象になりません。またタクシー代についても、タクシーで行くしか方法がなかったなどの理由がなければ対象にはなりませんので気をつけてください。
  • ナカジー:健康ドリンクやサプリメントとかは、どうなんですか?
  • 川野 :残念ですが、医師からの処法といった、特別な理由がなければ医療費控除の対象にはなりませんね。
  • ナカジー:それから、入院した場合に、差額ベッド料は、医療費控除の対象になるとか、ならないとか聞いたことがあるんですが?
  • 川野 :それも、よく聞かれる質問ですね。差額ベッド料については、原則は、医療費控除の対象にはなりません。しかし、病状により、その個室を使用する必要がある場合や、病院の都合で相部屋を使えず、やむを得ずその個室を使用しなければならないような場合には、医療費控除の対象になります。
  • らぶ子 :医療費の金額はどうやって計算するのですか?
  • 川野 :今年の確定申告でしたら、昨年の平成22年中に実際に支払った金額が対象となります。たとえば、治療をしたのが平成22年で、支払ったのが平成23年というような場合には、平成23年分の確定申告の対象になりますから、来年にまわすことになります。もちろん、支払った証明である領収書等は添付資料として必ず必要となります。
  • ナカジー:医療費控除の対象が本人だけでなく家族の分もいいと聞いたことがあるのですが、どこまで含めていんでしょうか?
  • 川野 :そうですね、ここが一番大切ですね。医療費控除の対象となるのは、本人及び本人と生計を一にする親族が対する医療費です。ポイントは、この親族は扶養控除や配偶者控除の対象になっていなくても、医療費控除の計算では含めていいということです。
  • 沢田 :ちょっと、今のところ分からなかったのですが。
  • 川野 :たとえば、一家四人暮らしで、子供も学生ではなく、しっかり社会人になっているとします。その場合、子供を扶養控除からは外しているかもしれませんが、その子の医療費を支払った場合には、医療費控除の計算に含めてよいということです。
  • らぶ子 :医療費控除額の計算は、どのようにすればよいのですか?
  • 川野 :支払った医療費の合計額から、生命保険契約から支給された入院給付金や、損害保険契約から支給された医療保険金などの保険金等で補てんされた金額を控除します。その控除した金額から原則として10万円を控除した残りの金額が、医療費控除額となるのです。
  • ナカジー:その10万円というのが大きいですよね。
  • 川野 :そうですね。ですから、1年間の家族全員の医療費の合計額が10万円を超えないと医療費控除はないということになりすね。ただ、細かい話になりますが、10万円と所得金額の5%のいずれか低い方を控除するとなっていますので、その年の所得の金額が少ない場合には、10万円以下の場合でも医療費控除額がある場合もあるんですよ。
  • 沢田 :それ以外に医療費控除で気をつけないといけない点があれば教えてください。
  • 川野 :多いのが、今まで医療費控除を知らなくて1回も受けたことがないという場合です。
    サラリーマンの方で毎年年末調整のみで確定申告をしたことがないという場合は、過去5年分まで遡って、医療費控除を受けて税金の還付を受けることが出来るんです。この時期は、確定申告の無料相談会場がいろいろなところで開催されますので、まずは自分で判断せずに我々税理士に相談されることをお勧めします。
  • 沢田 :このコーナーでは、税金について税理士さんにいろいろとお話を伺っています。
    また、税理士さんに質問などがありましたら、パオーン宛に送ってください。
    九州北部税理士会のホームページもありますので、一度、ご覧下さい。
    スタジオには、九州北部税理士会の税理士、川野秀明さんでした。
    ありがとうございました。
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