KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第18回:平成23年1月25日放送分

寄附金控除

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来てもらいまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日にうかがっています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、松永恵美子さんにお越し頂きました。松永さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :いよいよ確定申告が近づいてきましたが、今日は寄附をした場合についてのお話を伺いたいと思います。寄附をすると税金の額も減るといいますよね~?
  • 松永 :はい。国や地方公共団体、特定公益増進法人などに「特定の寄附金」を支払った場合には、確定申告をすることによって、「寄附金控除」という「所得控除」を受けることができます。
  • 沢田 :ま~、寄附と一口に言っても色々ですよね~?
  • 松永 :そうですね、身近な例としては昨年の宮崎県の口蹄疫義援金ですね。他にもユニセフや日本赤十字社、国境なき医師団、学校や公益法人に対する寄附もありますね。特定寄附金の合計額が 2,000円より多ければ、寄附金控除できます。
  • らぶ子 :2,000円以上なんですね? 街頭で10円玉を募金してもダメなんですね!
    じゃ、卒業した後に出身校に対する寄附とか、一口5,000円なんていうのもありますよ。
  • 松永 :学校といえば、入学のときの寄附金は 「特定寄附金」には該当しませんね。
    「特定寄附金」というのは、国・地方公共団体に対する寄附金や、科学・教育・文化の振興などを目的とする公益法人などに対する寄附金、その他にも一定の要件を満たすNPO法人や特定公益信託、政治活動に関する寄附金などが該当します。
  • 沢田 :2,000円以上でも特定寄附金に該当しなければ控除にならないわけですね。
  • 松永 :そうです。寄附金控除の計算は「特定寄附金の支出額」と自分の「総所得金額の40%」のどちらか少ない金額から2,000円を引いた金額というようになっています。2,000円を超える寄附で、その寄附が「特定寄附金」に該当するかどうか確認しないとならないですね。
  • ナカジー:なんかややこしい計算ですね~。確定申告しなければならないわけだし。
    「特定寄附金」かどうか、どこで確認するんですか?
  • 松永 :寄附をした場合には「寄附金控除の対象」となるかどうか、寄附の相手先に聞いたり寄附金の募集要項などで確認すると良いですね。
  • ナカジー:さっきでた「政治活動」に関する寄附金というのは政治献金とか、パーティ券とかいわれるものですか?
  • 松永 :個人が行う政治献金のうち一定のものについては「寄附金控除」を受けることが出来ますが、パーティ券はパーティの参加費用ですから該当しませんよ。党費とか後援会会費なども規約によるものですから該当しませんね。
  • ナカジー:政治資金規正法ってやつでしょ?
  • 松永 :そうですね。政治資金規正法に定められた団体で、選挙管理委員会に届出する寄附とか、公職者の後援会とかに対する寄附金とかが該当します。
    あと、政治活動に関する寄附金については、「所得控除」に代えて「税額控除」を選ぶことも出来ますよ。どちらが有利か申告をする前にシュミレーションする必要がありますね。
  • 沢田 :確定申告で寄附金控除を受ける際に必要な書類などありますか?
  • 松永 :はい。寄附の相手先からもらった受領証や、証明書などを確定申告の際に、添付又は提示しなければなりません。
    それとですね、ちょっとお話かわりまして、地方税にも「寄附金控除」があるんですよ。地方公共団体に対する寄附金や住所地の共同募金会、日本赤十字社に対する寄附金など、各県や市区町村の条例に対象となる寄附金が定められていますが、平成20年に改正されてから以前より控除額が大きくなっていますよ。
  • 沢田 :地方税とは、個人の住民税のことですか?
  • 松永 :そうです。住民税を納める人が5,000円を超える寄附を地方公共団体に行った場合、住民税額から一定限度額まで控除されます。5,000円以下の場合には対象になりませんが、「税額控除」ですので、金額によっては結構な控除額になるのではないでしょうかね。
  • らぶ子 :やはり確定申告をしなければならないのですか?
  • 松永 :「所得税の確定申告」を行う方は、その続きで住民税の計算上も「寄附金控除」が行われます。この場合も「寄附の相手先からの領収書の添付」などが必要ですね。
  • 沢田 :ということは、地方公共団体に対する寄附なら、所得税と住民税の両方で控除を受けられるってことですか?
  • 松永 :そうです。いずれも納税額の範囲内ですが、「所得税の確定申告を普段行わない会社員」などは住民税の方だけで確定申告してしまって、所得税の寄附金控除を受け忘れる可能性もありますので気をつけてください。
  • らぶ子 :「寄附金控除」を受けるなら、所得税の確定申告をまず行えば大丈夫ということですね。
  • 沢田 :今日は「寄附金控除」についてお話をお聞きしました。
    税理士さんに質問などがありましたら、パオーン宛に送ってください。
    また、九州北部税理士会のホームページもご覧下さい。
    スタジオには、九州北部税理士会の税理士、松永恵美子さんでした。ありがとうございました。
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