KBCラジオ「5分間の税金話 私の隣の税理士さん」

  • 第20回:平成23年2月8日放送分

生命保険金

  • 沢田 :このコーナーでは、現役の税理士さんにスタジオに来て貰いまして、税金のことはもちろん、起業や相続、不動産といった専門的な話ですとか、実際に、税理士さんがどんな仕事をしているのかなど、毎週火曜日に伺っています。
    今日は、「九州北部税理士会」所属の税理士、松永恵美子さんにお越し頂きました。松永さん、よろしくお願いします!
  • 沢田 :今週もシーズンですから、確定申告に関連するお話を伺いますが、どんなお話でしょうか?
  • 松永 :今日は、生命保険金のお話をします。
  • 沢田 :生命保険といえば、亡くなった時とか、満期の時にも保険金が出ますよね。
  • 松永 :そうですね。亡くなった時の保険金を「死亡保険金」と言い、これは「相続税の対象」になります。
    これに対して、満期の時は、「所得税や贈与税の対象」になります。丁度これから確定申告のシーズンですので、今日は、満期時の保険金についてお話をしたいと思います。
    みなさんが入っている保険の多くは、「夫が亡くなった時には、死亡保険金が妻に支払われ、満期の時には、満期保険金が夫に支払われる」といったものだと思いますが、この場合の満期保険金は、夫の所得税の対象になります。少しお話難しくなりますが、所得税では、満期保険金は、『一時所得』というものに分類され、まず、「受取った保険金」から、「支払った保険料」を差引き、「いくら多く受け取ったのか」を出します。ここから、更に「一時所得の特別控除50万円」を差引き2分の1にした金額と、給与などの他の所得とを合わせまして、所得税税率を掛けて所得税額が出てきます。また、所得税の確定申告をしますと、住民税にも反映され、住民税も課税されます。
  • ナカジー:ちょっと待ってくださいよ。貰った保険金から、今迄に支払った保険料を引けて、更に50万円を引いて、それから半分にした額に、税率を掛けて、出てきた額が、所得税額なんですね。そして住民税はもれなく付いてくる訳ですね。
  • 松永 :そうです。でも、例えば、満期保険金が2口ある場合、50万円の特別控除が 掛ける2倍で、100万円になる訳ではなく、「一時所得の特別控除は、年間50万円」が最高額となっています。
    また、「受取った保険金」より、「支払った保険料」の方が多く、マイナスになった場合や、50万円の特別控除を引くと、マイナスになる場合でも、そのマイナスは、給与などの他の所得からは引けません。
  • らぶ子 :保険料を積立金と考えたら、50万円も利息の付く積立金ってあるんですか?
  • 松永 :保険を掛ける期間は長いですから、バブル期に契約した保険だと、結構、利率の良い保険もあるんですよ。
  • ナカジー:それに、保険は若い時に掛けた出した方が、掛け金が安いですもんね。
  • 松永 :そうですよね。ですから、親が、未だ学生で収入の無い子供を受取人にした生命保険を契約し、子供が就職した後に、契約者を親から子供に変更する様な事もあります。この場合、親が支払った保険料に対応する満期保険金は贈与税の対象に、就職した後子供が自分で支払った保険料に対応する部分は所得税の対象になります。
    所得税の計算は先程と同じですが、贈与税は、「贈与税の対象となった保険金」から「110万円の贈与税の基礎控除」を差引いた額に 贈与税率を掛けて計算します。
  • ナカジー:贈与税では、支払った保険料を引いてくれないんだ。110万円を引くだけなんですね。でも、貰った保険金って、一つですよね?どうやって、所得税や贈与税の対象に分けるんですか?
  • 松永 :今迄支払った保険料の割合で分けます。例えば、保険料を、親が10万円支払って、その後、子供が90万円支払った保険では、親が保険料全体の1割を負担して、子供が残りの9割を負担した事になりますね。
    この場合は、受取った満期保険金の内、1割部分は贈与税の対象に、9割部分は所得税の対象になります。
  • らぶ子 :そうやって、分けるんですね。あの~、さっきから、生命保険の「受取人」や「契約者」といった言葉が出てきますが?
  • 松永 :生命保険証券をご覧頂きますと、そこには、「保険契約者」、「被保険者」、「保険金受取人」の3人のお名前が記載されています。全て同じ方でも、3人とも違う方でも構いません。いくつかのパターンの組合せにより、所得税の対象か、贈与税の対象 になります。
  • ナカジー:難しそうですね。
  • 松永 :生命保険金については、私も念の為に、解説書などと保険証券を付き合わせながら仕事をしますので、簡単ではありません。
    今日は、満期保険金について、最も多いと思われる事例を紹介しましたが、ご心配でしたら、この時期、各地で開かれている確定申告会場でご相談下さい。
  • 沢田 :今週は生命保険金についてお話をお聞きしました。
    さて、税理士会からのお知らせです。2月12日の土曜日、午前10時から午後4時まで電話による税務相談を行います。電話番号は03-5496-3838です。税金に関する相談を受け付けますのでお気軽にお電話下さい。2月12日の土曜日午前10時から午後4時まで、03-5496-3838です。お電話お待ちしています。
    さて、スタジオには、九州北部税理士会の税理士、松永恵美子さんでした。ありがとうございました。
閉じる