電子申告への取組み

税理士が電子申告に取組む意義

Q1:どのような経緯で電子申告が始まったのですか。
A:平成5年10月に第3次臨時行政改革推進協議会は、最終答申の中で、「著しく立ち遅れているわが国の行政情報化について、個人情報の保護に万全を期しながら、一層積極的かつ戦略的に推進する」必要があるとして、 中期的な展望の下に行政の情報化を推進するための政府全体としての情報化推進計画の策定、 各省庁間における情報の総合的利用の推進、国民に対する行政サービスの向上等、 情報化推進のための基盤を推進計画を踏まえ体系的・重点的に整備、情報化の進展に応じた行政の執務システムの必要な変革、以上3点を提言しました。
ここから、電子政府構想が始まりました。電子政府の大きな特徴の一つとして、国民が行政機関への届出・申請をインターネットで行うことを可能とするものです。電子申告も電子政府の一環として実施されることになりました。電子申告開始までの流れは以下のとおりとなっています。

平成6年12月
行政情報化推進基本計画が策定
平成7年度からの5年間で各省庁内のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)と霞ヶ関のWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)を構築する。

平成9年12月
行政情報化推進基本計画の改定が閣議決定
報道発表は速やかに行い、 ホームページで公開し、 分量が多い場合はCD-ROM で提供

平成11年6月
国税庁が「申告手続の電子化等に関する研究会」を設置

平成12年4月
「申告手続の電子化等に関する研究会」が、「望ましい電子申告制度のあり方」を公表

平成13年1月
IT 基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)施行
IT(情報通信技術)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に的確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、並びに高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT 戦略本部)を設置するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画の作成について定めることにより、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的とする。

平成14年6月
e-Japan 重点計画-2002 策定
行政分野において、平成15年度に電子情報と紙情報を同等に扱うとした。

平成14年2月
オンライン化法案の整備法により税理士法の一部改正
税理士法第2条第1項第2号中「提出する書類」の下に「(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することが出来ない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理のように供されるものをいう。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)」を加えることにより、インターネットでの電子申告等は税務申告の一環となる。

平成14年6月
行政手続きをオンライン化するための電子政府・自治体関連三法案を決定、国会に提出
同法案は全国民に11 ケタのコード番号を付け、氏名、生年月日などの個人情報を一元管理する「住民基本台帳ネットワーク」(住基ネット)を利用し、行政機関への届出・申請をインターネットで行うことを可能にする内容です。

平成16年2月
国税電子申告・納税システム(e-Tax)が名古屋国税局管内において運用開始される。

平成16年6月
国税電子申告・納税システム(e-Tax)が全国で運用開始される。

政策の詳細についてはIT 戦略本部のホームページをご参照ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/enkaku.html
「望ましい電子申告制度のあり方」
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/e-tax/000419/arikata/01.htm

Q2:税理士は積極的に電子申告に取り組む必要があるのですか。
A:日本ではインターネットの普及が急速に進んでおり(「平成19年「通信利用動向調査」の結果」(総務省)によると平成19年末時点においてインターネットの個人利用率74.4%、企業利用率98.7%)、パソコン、インターネットが仕事、生活に必要不可欠なものとなってきました。このような社会の変化に税理士も対応していく必要があります。
電子申告は、電子政府構想の中枢を担っている手続きです。現在の国の方針はもとより諸外国の現状を鑑みた場合、近い将来、紙ベースの申告・申請から電子による申告・申請に移行していくことが予想されます。電子申告が当たり前の世界が訪れます。
電子申告は、本人申告か税理士による代理申告しか認められていません。つまり、税理士が電子申告に対応しなければ、税理士が電子政府実現への足枷となっていると見なされ、税理士業務の無償独占への批判が高まることが予想されます。さらに、日本の申告納税制度にも影響を与えかねないことになると考えられます。
税理士が電子申告に積極的に取り組むことによって、国の施策である電子政府の実現に大きく貢献することになります。そして、電子政府の実現により、結果的に納税者の利便性向上に繋がるものと考えられます。

「日税連HP 電子申告に関するQ&A」
http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/faq_ans01.html#1-q1

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